皆既月食
ふとした瞬間にいつも思い出す人がいる
忘れようと、何度心に言い聞かせただろう
すぐ近くのスーパーにも、部屋の中のカーテンの揺れる瞬間にもあなたの影が離れない。
別れた時はこんなにも傷口が深くなるなんて思ってもみなかったのに。
気がついた時には無意識にあなたの姿を目の片隅に探している。
とっくに吹っ切れたと強がって見せても
どこがで冷め切らない思いが後悔の想いに火を灯す。
あなたのことなんか、
あなたの姿なんて、
なにも感じずに見つめられていたあの頃に戻りたいと、今なら素直に言えるのに。
なぜ肝心なあなたが目の前にいないのだろう。
あなたの姿すら見れないのだろう。
あなたの好きだった月がいつもと違う顔を見せるから
たまらなく会いたくなってしまったよ